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「行きたくない」——その言葉を子どもから聞いたとき、どう感じましたか。心配になった、困った、どう答えていいかわからなかった……そういうかたが多いと思います。
でも今回は、少し違う角度からこの言葉を見てみたいんです。「行きたくない」と言えるようになったこと、実はそれ自体が子どもの成長のあかしかもしれない、という話です。
「行きたくない」と言えない子どもの時期がある
0〜2歳くらいの子どもは、「行きたくない」という気持ちがあっても、それを言葉にする力がまだありません。気持ちは体に出ます。泣く、しがみつく、ぐずる、食欲が落ちる——言葉の代わりに、体が訴えます。
3歳を過ぎて言葉が増えてくると、少しずつ「気持ちを言葉にする」ことができるようになってきます。そして「行きたくない」という言葉が出てきたとき、それは子どもが自分の内側にある感情を、ちゃんと言語化できた瞬間でもあるんです。
泣くだけだったのが、言葉になった。それは小さいようで、大きな一歩です。
📝 現場エピソード(フィクション)
5月のある日、Dくん(4歳)が数日続けてお友だちとのトラブルで泣いて帰る、という場面がありました。おもちゃの取り合い、順番のいざこざ——よくある場面ですが、Dくんにとっては積み重なってしんどかったようです。
数日後、Dくんはお母さんに「行きたくない」と告げ、その日は休みました。
後日お母さんから聞いたとき、正直「ちゃんと親に話せたんだな」と思いました。と同時に、しんどいときに「しんどい」と言える言葉を持てたこと、それをお母さんに伝えられたこと——Dくんが確かに育っているんだと感じた場面でした。
「行きたくない」の奥にあるもの
「行きたくない」という言葉は、表面上はネガティブに聞こえます。でもその言葉の奥には、いくつかの大切なものが詰まっています。
自分の気持ちに気づいている
「なんかしんどい」「いやだ」という感覚を、自分でちゃんとキャッチできています。感情に気づく力は、育ちの中でとても大切な土台です。
親に伝えようとしている
「行きたくない」と言えるのは、言っても大丈夫だという安心感があるからです。黙って我慢するのではなく、親に打ち明けてくれた——それだけで、家庭が安心できる場所になっている証拠です。
限界のサインを出せている
しんどいときに「しんどい」と言える子は、抱え込まずに済む子です。大人でも難しいことを、子どもながらにできているんですよね。

「行きたくない」と言われたとき、どう返すか
とはいえ、毎回休ませるわけにもいかないし、どう答えていいか悩む場面も多いと思います。いくつかヒントをお伝えしますね。
まず「そっか」と受け止める
「そんなこと言わないで」「みんな行ってるよ」より先に、「そっか、行きたくないんだね」とひとこと受け止めるだけで、子どもの気持ちは少しほぐれます。否定しないこと、それだけで十分なことも多いです。
理由を根掘り葉掘り聞かない
「なんで?」「何があったの?」と続けて聞きたくなりますが、子どもはうまく説明できないことも多く、追い詰められた気持ちになることもあります。「話したくなったら聞くよ」くらいの距離感のほうが、後から話してくれることが多いです。
休む選択肢を持っておく
毎回休む必要はありませんが、「本当にしんどいときは休んでいい」という選択肢を持っておくことは大切です。たまに休ませると逃げ癖がつく、というより、「逃げていい場所がある」という安心感が、長い目で見ると登園を続ける力になります。
💬 保護者へのひとこと
「行きたくない」という言葉が出てきたとき、ぜひ少しだけ立ち止まって聞いてみてください。
その言葉の奥に、子どもなりの一生懸命さと、あなたへの信頼が詰まっています。
「言えた」こと自体を、心の中でそっと褒めてあげてください。子どもも、自分自身も。
📚 今月のおすすめ
▶ 『いやだいやだ』(せなけいこ・作、福音館書店)
「いやだいやだ」が口癖のルルちゃんが、自分の気持ちと向き合う小さなお話です。「いやだ」という気持ちを否定せず、やさしく包んでくれる絵本。「行きたくない」が出てくるこの時期に、一緒に読んでみてください。2歳ごろから。
▶ 『おこだでませんように』(くすのきしげのり・作、小学館)
いつも怒られてばかりの男の子が、七夕の短冊に書いた願いごとは——。自分の気持ちをうまく言葉にできない子どもの内側を、やさしく描いた絵本です。「行きたくない」と言えずに黙っている子の気持ちが、少し見えてくるかもしれません。保護者が読んでも、じんとくる一冊です。


